十二神社 〜万福寺の氏神様〜 新百合ヶ丘
新百合ヶ丘駅の北口、新百合ヶ丘駅入口交差点の小田急OXの後ろに回ると突然鳥居が現れる。
万福寺の氏神である十二神社の入口だ。鳥居をくぐって鬱蒼とした小山の中の階段をしばらく登るとお社につく。
十二神社。妙な名前である。
新宿の十二社に似ている。
祭神は宇気母智大神、聞いたことがない。日本書紀に登場する保食神のことらしい。食べ物の神で女神設定である。
創建は比較的新しく正徳年間、江戸時代の中頃。
このあたりは農業が盛んだったので食べ物の神様を祀ったらしい。
新編武蔵風土記稿によると飯縄稲荷を祀っていたという。
飯縄稲荷は今も信州千曲に存在し倉稲魂神、保食神その他を祀っている。
大正十年、それまで祭神不詳だったが宇気母智大神に訂正される。
十二神社という変わった社名は天神七代・地神五代を祀っているからだと言われている。ウィキペディアにそう書いてある。
新宿の十二社は熊野信仰に由来するそうだが、こちらでは熊野信仰に関する話は見当たらない。
ただ当地には鈴木姓が異様に多い気がする。
階段を登り切ると年季の入った二匹の狛犬が鎮座している。大正五年に作られたものだ。台座には何やら歌らしきものが彫ってあるがよくわからなかった。何かを言祝いでいるのは間違いない。中島さんのオリジナルの歌なのかもしれない。
左手に手水がある。立派な龍の口からジョロジョロと本来は水が出るのだと思うが出ていない。
繁忙期だけ稼働するのかもしれない。
更に進むと社務所がある。
普段は無人で繁忙期だけシャッターを開けるスタイルだ。
参道の正面にピッカピカの拝殿がある。社殿やその他諸々が作られたのが平成十七年なので非常に綺麗だ。右の方に映っているのは創建三百年を記念してつくられた祭神宇気母智大神の像。
拝殿の後ろに本殿がくっついている一般的な形式。鉄筋コンクリのピッカピカである。全体的なデザインは古式であるが、窓や扉などディテールは現代風になっている。
千木の先端は縦に切れている。巷説では女神を祀る神社の千木は水平に切れていると云うがそうでもないようだ。
内部がどうなっているかはわからないが、御神鏡が収められているらしい。
木製の御神鏡の雛形には「萬福寺鎮守井津納神社」と墨書されている。やはり元はイヅナ神社なのだろう。