琴平神社 〜武州柿生〜
2022.06.19
王禅寺の程近く、道路沿いに突如として朱色の大きな鳥居が現れる。
琴平神社だ。
儀式殿
非常に立派な社殿だが、ここに本殿はない。
本殿は少し離れた激階段の上に鎮座している。
お年寄りや体が不自由な人には難儀で危険なため麓の平地に参拝用の社殿を作ったらしい。
儀式殿という。
参拝やお守り御朱印授与などはこちらで行われている。
銭洗弁財天
儀式殿の奥には小さな池があり弁天が祀られている。
もともと王禅寺の境内にあった石宮をこちらに移して再建したもの。
小さな建物だが威風堂々としている。
王禅寺に弁天が祀られたのは文化の頃。
巳待講が盛んだったらしい。
江戸時代の庶民はよっぽど講が好きだったようだ。
庚申待、富士講などなど、信仰とレジャーを兼ね備えた存在だったのかもしれない。
と思うと、現代の日本も変わっていないことに気づく。
本殿
儀式殿から少し歩くと、しめ縄の張られた石の鳥居と激階段が現れる。
琴平神社の本殿だ。
なるほどこの階段は、あまり上りたくはない。
狛犬は新旧の二段構えになっている。古い方は幕末天保のころ作られたもの。
右手に手水舎。四体のなにかによって支えられている。神社によると、この四体は「がまんさん」というらしい。
確かに我慢している感じである。
拝殿と本殿は平成の頃に放火され全焼。建て替えられた。
とても綺麗で立派である。
火事のときに渡辺崋山が描いたという天井画も消失したが、宮司が描き直したという。すごいな。
祭神
もともとこの地には伊勢信仰のお社である神明社があった。
文政年間に地元の名主によって四国のこんぴらさんを勧請し、神明社と一緒に祀った。
そして時代は下って昭和五十五年、なぜか知らぬがこんぴら熱が高まったらしく社名を琴平神社に変更して現在に至っている。